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帝京、日大三を見に行って…
2003年10月9日 今日は江戸川球場で行われた秋季都大会、帝京vs明星と日大三vs桐朋の2試合を観戦。
帝京は東東京、日大三は西東京を代表する強豪チーム。いわば東西の横綱だ。
そんなわけで平日の昼間にもかかわらず観客席はかなりの人で埋まった。こんな日はいつも「みんな一体何をしている人たちなんだろう?」(自分のことは棚に上げて…)と思ってしまうが、この高校野球人気がある間は日本の野球界は大丈夫だとうれしい気分にもなる。
そんなことはさておき試合の話を。
帝京は例年通り体格のいい選手をずらりと揃え迫力は十分だったが、特に目にとまったのはエースの上野大樹(2年)だけ。1年生からマウンドを任せられているだけあって全く危なげないピッチングを見せたが、特筆すべきはシュート。高校生には珍しく、鋭く曲がるのがはっきりと見てとれ決め球としても十分に威力を発揮した。少し体重が後ろに残り開きが早いのは難点で凄みには欠けるが、制球良く変化球でカウントが取れるため高校生レベルでは十分好投手といえる。7回を投げ被安打2、四死球0で完封。バッティングも(打順は3番)インパクトの強い振りで4打点と活躍した。
だがそんな上野よりも魅力を感じたのが敗れた明星のエース中山博之(1年)。初回の初球を見ただけで背筋がぞくっとした。細身だがシャープな腕の振りで、とにかく手元でボールが落ちない。高めは特にミットをはねあげるようなのびがある。この日の最速は132km(上野は135km)だったがおそらく初速と終速の差が小さいタイプなのだろう、帝京打線はことごとくつまらされ、まともにとらえた打球はほとんどなかった。最後は四球とエラーから自滅したが、来年以降が本当に楽しみなピッチャーである(試合は8−0で帝京が7回コールド勝ち)。
第2試合は結果から先に言うと桐朋が7回コールド7−0で日大三を下し、大金星をあげた。新聞で結果だけ見た人はさぞびっくりすることだろう。中には「今年の日大三は弱いんだな」と思う人も多いはずである。だが決してそんなことはない。試合前のシートノックを見た時点では「日大三がコールドで勝つな」と思った人がほとんどだろう。それほど日大三の選手の動き、肩の強さは素晴らしいものがあり、桐朋との力の差は歴然としていた。特に現在の1年生は2000年の夏の全国優勝を見て入学してきたメンバーである。レベルが高いのは当然だ。ショートの千田隆之、セカンドの中山怜大など好素材はごろごろいた。それでも何が起こるかわからないのが野球である。2回、桐朋は日大三先発の小田和範(2年)の乱調につけこみ5点を先制すると3回にも2点を追加。記録を見れば9安打7得点の快勝だが、ヒットのほとんどは野手の間に落ちるようなラッキーなもの。そしてランナーがたまったところで長打が出るという漫画でも見ているような展開だった。
もちろん桐朋にも勝つだけの要因はあった。それがエース林祥央(2年)の存在である。夏から桐朋にいいピッチャーがいるとは聞いていたが、今日も日大三打線を3安打に封じ込め噂にたがわぬピッチングを披露してくれた。最大の長所は腕の振り。テークバックでスムーズに肘が高く上がり、ひっかかるようなところがない。ボールの角度、キレも現時点では申し分ない。そして二つ目に素晴らしいのがカーブ。落差、ブレーキはもちろんのこと、腕をしっかり振って投げてくるためバッターはたまらない。近年、スライダーを多投してカーブのキレを失う選手が多いので、何とか今のカーブを大切にしてほしいものである。もちろん欠点もある。右足の蹴りが弱く、しっかりと体重を右足に乗せ切れていないのだ。だがそれも致命的なものではなく、順調に成長を続ければ将来プロを狙える投手であることは間違いないだろう。
結局のところ今日は帝京、日大三を目当てにしていながら、心を奪われたのは明星の中山と桐朋の林だった。だが実はお目当ての選手が期待通りに活躍したときよりも、こんな日のほうが嬉しかったりするものである。
週末は郡山で行われる北海道東北大学王座決定戦を見に行く。お目当てはもちろん八戸大の川島、石川、三木、東北福祉大の中村、塩川、福田らである。だがそんな中でもきっと名前を知らなかったような選手に巡り合うことを期待してわくわくしている。
帝京は東東京、日大三は西東京を代表する強豪チーム。いわば東西の横綱だ。
そんなわけで平日の昼間にもかかわらず観客席はかなりの人で埋まった。こんな日はいつも「みんな一体何をしている人たちなんだろう?」(自分のことは棚に上げて…)と思ってしまうが、この高校野球人気がある間は日本の野球界は大丈夫だとうれしい気分にもなる。
そんなことはさておき試合の話を。
帝京は例年通り体格のいい選手をずらりと揃え迫力は十分だったが、特に目にとまったのはエースの上野大樹(2年)だけ。1年生からマウンドを任せられているだけあって全く危なげないピッチングを見せたが、特筆すべきはシュート。高校生には珍しく、鋭く曲がるのがはっきりと見てとれ決め球としても十分に威力を発揮した。少し体重が後ろに残り開きが早いのは難点で凄みには欠けるが、制球良く変化球でカウントが取れるため高校生レベルでは十分好投手といえる。7回を投げ被安打2、四死球0で完封。バッティングも(打順は3番)インパクトの強い振りで4打点と活躍した。
だがそんな上野よりも魅力を感じたのが敗れた明星のエース中山博之(1年)。初回の初球を見ただけで背筋がぞくっとした。細身だがシャープな腕の振りで、とにかく手元でボールが落ちない。高めは特にミットをはねあげるようなのびがある。この日の最速は132km(上野は135km)だったがおそらく初速と終速の差が小さいタイプなのだろう、帝京打線はことごとくつまらされ、まともにとらえた打球はほとんどなかった。最後は四球とエラーから自滅したが、来年以降が本当に楽しみなピッチャーである(試合は8−0で帝京が7回コールド勝ち)。
第2試合は結果から先に言うと桐朋が7回コールド7−0で日大三を下し、大金星をあげた。新聞で結果だけ見た人はさぞびっくりすることだろう。中には「今年の日大三は弱いんだな」と思う人も多いはずである。だが決してそんなことはない。試合前のシートノックを見た時点では「日大三がコールドで勝つな」と思った人がほとんどだろう。それほど日大三の選手の動き、肩の強さは素晴らしいものがあり、桐朋との力の差は歴然としていた。特に現在の1年生は2000年の夏の全国優勝を見て入学してきたメンバーである。レベルが高いのは当然だ。ショートの千田隆之、セカンドの中山怜大など好素材はごろごろいた。それでも何が起こるかわからないのが野球である。2回、桐朋は日大三先発の小田和範(2年)の乱調につけこみ5点を先制すると3回にも2点を追加。記録を見れば9安打7得点の快勝だが、ヒットのほとんどは野手の間に落ちるようなラッキーなもの。そしてランナーがたまったところで長打が出るという漫画でも見ているような展開だった。
もちろん桐朋にも勝つだけの要因はあった。それがエース林祥央(2年)の存在である。夏から桐朋にいいピッチャーがいるとは聞いていたが、今日も日大三打線を3安打に封じ込め噂にたがわぬピッチングを披露してくれた。最大の長所は腕の振り。テークバックでスムーズに肘が高く上がり、ひっかかるようなところがない。ボールの角度、キレも現時点では申し分ない。そして二つ目に素晴らしいのがカーブ。落差、ブレーキはもちろんのこと、腕をしっかり振って投げてくるためバッターはたまらない。近年、スライダーを多投してカーブのキレを失う選手が多いので、何とか今のカーブを大切にしてほしいものである。もちろん欠点もある。右足の蹴りが弱く、しっかりと体重を右足に乗せ切れていないのだ。だがそれも致命的なものではなく、順調に成長を続ければ将来プロを狙える投手であることは間違いないだろう。
結局のところ今日は帝京、日大三を目当てにしていながら、心を奪われたのは明星の中山と桐朋の林だった。だが実はお目当ての選手が期待通りに活躍したときよりも、こんな日のほうが嬉しかったりするものである。
週末は郡山で行われる北海道東北大学王座決定戦を見に行く。お目当てはもちろん八戸大の川島、石川、三木、東北福祉大の中村、塩川、福田らである。だがそんな中でもきっと名前を知らなかったような選手に巡り合うことを期待してわくわくしている。
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