福島で見たすごいもの
2003年10月12日 昨日、今日と予定通り郡山開成山球場(福島)で「第8回北海道東北大学野球王座決定戦」を観戦した。見た試合は八戸大vs東農大生産学部、北海学園大vs札幌大(11日)、八戸大vs東北福祉大、北海学園大vs東日本国際大(12日)の4試合。
最も印象に残ったのは八戸大のエース三木均(3年、右投)。ストレートは最速148kmを記録し、縦のスライダーのキレも抜群。制球も安定し、来年の自由枠候補は間違いないだろう。今年ヤクルトの自由枠が確実視されている川島亮(4年、右投)も昨日の最速は148km。オールローボールの制球力も見事だが、球質の軽さが不安材料か。中日の指名が確実な石川賢(4年、右投)の登板がなかったのは残念だったが、この二人のピッチングが見られただけで福島まで来た甲斐があった。
野手では東農大生産学部の高木修二(3年、中堅手、右投左打)。去年の大学選手権で見たときよりもバッティングが数段良くなり、三木から2打数2安打1死球。出塁や次の塁を狙う姿勢が凄まじく、来年はもっと騒がれる存在になるだろう。
と、選手の話はここまで。実はこの二日で一番の衝撃は11日の第2試合で起こった。はっきり言って目に付いた選手は札幌大の先発、谷崎大吾(3年、右投、サイドスロー)だけ。試合も8回を終わって札幌大が6−0と大量リード。球場にも退屈な空気が漂い、普段なら途中で席を立ってもおかしくない展開だった。ただこの日は遠出していたということで“早くホテルに行ってもやることないか…”という気持ちが働き、最後まで見ていくことにした。
9回表北海学園大の攻撃は代打攻勢、といっても4年生の思い出作りの意味合いの強いもので、先頭からの3連打で2点を返したときもベンチは「完封されなくてよかった〜」という程度の喜び方だった。その後の2人が打ち取られ二死一塁になったときには札幌大ベンチは投球練習をしていた控え投手も引き上げ、整列に向かう準備は万端という雰囲気だった。続く代打の2人がファーストのエラーと四球で出塁し、二死満塁になってもその雰囲気は変わらず1番の海沼功司(3年)がレフトにライナー性の平凡な当たりを打ち上げたときには球場にいる誰もが試合終了だと思った。ところがなんとその当たりをレフトが落球。2人が生還し点差は2点、なおも二死一・三塁となってしまった。
マウンド上の谷崎は膝に手をつき「まだ終わらないのかよ…」という表情。“ひょっとするとこれは”と思ったのもつかの間、続く2番の度会隆文(3年)が2球目を叩くと打球は右中間を抜けさらに2人が生還。あっという間に同点に追いついてしまった。その後またもや二死一・三塁とすると、このイニング2度目の打席に立った千葉政宏(4年)のフラフラと上がった打球をセカンドがハンブルして逆転。6−2になったときとは明らかに違う喜びを爆発させる北海学園大ベンチとは対照的に完全に凍りつく札幌大ベンチ。この試合の勝者と対戦する東日本国際大ナインも「嘘だろ〜!」と驚きを隠せずに声をあげた。誰が8回までサードベースも踏めなかった打線が6点差を逆転すると想像できただろうか。その裏札幌大も二死一・三塁のチャンスをつかんだが、一度逃した流れは戻らなかった。最後の打者の打ち上げたフライがキャッチャーミットにおさまると決して多くはない北海学園大応援団からは優勝したかのような大歓声が起こった。
こんな試合1年に1度見られるかどうかである。三木や川島のピッチングに加えてこんな試合まで見られて、本当に福島まで来た甲斐があった。
付け加えると北海学園大は勢いに乗ったかどうかは?だが、今日の東日本国際大との準決勝にも4−0で勝利し、決勝にコマを進めた。決勝の相手は東北福祉大。戦力的に考えて勝つ可能性は限りなく低いだろう。だが9回に6点差をひっくり返す可能性に比べればずいぶんと高いのも確かである。もし決勝にも勝ち神宮大会に出場するようなことになったらそのときは必ず見に行こうと思う。たとえ大方の予想通り東北福祉大が勝ったとしても、自分はこの試合と北海学園大の名前は死ぬまで忘れないだろう。
第8回北海道東北大学野球王座決定戦、試合結果
10月11日(土)
八戸大3−2東農大生産学部
北海学園大7−6札幌大
10月12日(日)
東北福祉大1−0八戸大
北海学園大4−0東日本国際大
最も印象に残ったのは八戸大のエース三木均(3年、右投)。ストレートは最速148kmを記録し、縦のスライダーのキレも抜群。制球も安定し、来年の自由枠候補は間違いないだろう。今年ヤクルトの自由枠が確実視されている川島亮(4年、右投)も昨日の最速は148km。オールローボールの制球力も見事だが、球質の軽さが不安材料か。中日の指名が確実な石川賢(4年、右投)の登板がなかったのは残念だったが、この二人のピッチングが見られただけで福島まで来た甲斐があった。
野手では東農大生産学部の高木修二(3年、中堅手、右投左打)。去年の大学選手権で見たときよりもバッティングが数段良くなり、三木から2打数2安打1死球。出塁や次の塁を狙う姿勢が凄まじく、来年はもっと騒がれる存在になるだろう。
と、選手の話はここまで。実はこの二日で一番の衝撃は11日の第2試合で起こった。はっきり言って目に付いた選手は札幌大の先発、谷崎大吾(3年、右投、サイドスロー)だけ。試合も8回を終わって札幌大が6−0と大量リード。球場にも退屈な空気が漂い、普段なら途中で席を立ってもおかしくない展開だった。ただこの日は遠出していたということで“早くホテルに行ってもやることないか…”という気持ちが働き、最後まで見ていくことにした。
9回表北海学園大の攻撃は代打攻勢、といっても4年生の思い出作りの意味合いの強いもので、先頭からの3連打で2点を返したときもベンチは「完封されなくてよかった〜」という程度の喜び方だった。その後の2人が打ち取られ二死一塁になったときには札幌大ベンチは投球練習をしていた控え投手も引き上げ、整列に向かう準備は万端という雰囲気だった。続く代打の2人がファーストのエラーと四球で出塁し、二死満塁になってもその雰囲気は変わらず1番の海沼功司(3年)がレフトにライナー性の平凡な当たりを打ち上げたときには球場にいる誰もが試合終了だと思った。ところがなんとその当たりをレフトが落球。2人が生還し点差は2点、なおも二死一・三塁となってしまった。
マウンド上の谷崎は膝に手をつき「まだ終わらないのかよ…」という表情。“ひょっとするとこれは”と思ったのもつかの間、続く2番の度会隆文(3年)が2球目を叩くと打球は右中間を抜けさらに2人が生還。あっという間に同点に追いついてしまった。その後またもや二死一・三塁とすると、このイニング2度目の打席に立った千葉政宏(4年)のフラフラと上がった打球をセカンドがハンブルして逆転。6−2になったときとは明らかに違う喜びを爆発させる北海学園大ベンチとは対照的に完全に凍りつく札幌大ベンチ。この試合の勝者と対戦する東日本国際大ナインも「嘘だろ〜!」と驚きを隠せずに声をあげた。誰が8回までサードベースも踏めなかった打線が6点差を逆転すると想像できただろうか。その裏札幌大も二死一・三塁のチャンスをつかんだが、一度逃した流れは戻らなかった。最後の打者の打ち上げたフライがキャッチャーミットにおさまると決して多くはない北海学園大応援団からは優勝したかのような大歓声が起こった。
こんな試合1年に1度見られるかどうかである。三木や川島のピッチングに加えてこんな試合まで見られて、本当に福島まで来た甲斐があった。
付け加えると北海学園大は勢いに乗ったかどうかは?だが、今日の東日本国際大との準決勝にも4−0で勝利し、決勝にコマを進めた。決勝の相手は東北福祉大。戦力的に考えて勝つ可能性は限りなく低いだろう。だが9回に6点差をひっくり返す可能性に比べればずいぶんと高いのも確かである。もし決勝にも勝ち神宮大会に出場するようなことになったらそのときは必ず見に行こうと思う。たとえ大方の予想通り東北福祉大が勝ったとしても、自分はこの試合と北海学園大の名前は死ぬまで忘れないだろう。
第8回北海道東北大学野球王座決定戦、試合結果
10月11日(土)
八戸大3−2東農大生産学部
北海学園大7−6札幌大
10月12日(日)
東北福祉大1−0八戸大
北海学園大4−0東日本国際大
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