引き続き5月の振り返り、後半です。

5月13日 青山学院大13−0駒沢大
       日大1−0東洋大(東都大学野球1部リーグ戦)
 少し時間が空いたときに神宮に立ち寄っただけなので、1試合目の途中から2試合目の序盤までの観戦。那須野巧(日大、4年、投手)はもはや貫禄すら感じるピッチングで、立ち上がりから全く危なげなし。入れ替え戦の3連投以来力の抜き方を完全に覚えた。マウンドから捕手までが短く見え、球速も最速148kmを記録。変化球も低めに集まり、東洋大の強力打線を寄せ付けなかった。この春に見た中では野間口、一場よりも遥かに内容が良く、ひょっとしたら今年最大の目玉は那須野なのかもしれないと思わせるほどの投球だった。「未完の大器」と評されながらそのまま未完で終わる選手が多い中、那須野は本当の大器に化けたといえるだろう。大学選手権でも期待できそうだ。

5月22日 海星2−3中京大中京
       春日丘4−8宇治山田商(高校野球春季東海大会)
 まずは第1試合。昨秋の東海大会で3本塁打を放ち、一躍注目を集める存在となったのが海星の4番、竹野恭矢(3年、外野手、左投左打)だ。この日はレフトへの二塁打1本に終わったが、素材の良さは十分に感じられた。171cmと上背はないものの、構えは大きく打席での雰囲気は十分。しっかりとトップの形を作り、それが崩れないのが最大の長所だ。力みからボール球に手を出す場面が目立ったが、右肩が開かず体に巻きつくような鋭いスイングで打球の速さも抜群。守備面で少し緩慢なプレーがあったのが不満だが、足と肩も高校レベルでは十分に及第点だ。
 中京大中京ではトップバッターの伊藤暢啓(3年、二塁手、右投右打)とエースの小椋健太(3年、右投右打)。伊藤はいかにもリードオフマンというタイプの選手。小柄だが全身のバネが抜群で、軽快なフットワークと正確な守備が光った。バッティングも上からしっかり叩けており、パンチ力も十分だ。小椋はリリーフで2イニングだけの登板。昨年の夏にもビデオで見たが、その頃に比べて下半身が安定し、フォームのバランスが格段に良くなった。しなやかな腕の振りで球持ちが長く、低めの伸びも十分。決め球はスライダー。投げるときに肘が下がるが、キレ味鋭く空振りの取れるボールだ。素材的には岩田(東邦)にも決して負けていない。前日2本塁打を放った4番の中村翔(2年、右投右打、一塁手)は引っ張る意識が強く、大振りが目立った。守備もサードでは苦しいだろう。
 第2試合、やはり目立ったのが宇治山田商・江川智晃(3年、投手、右投右打)のバッティング。ヘッドが長く走るスイングで右手の押し込みも強く、差し込まれても外野の頭を越える長打力は凄いの一言。バットコントロール上手く、右にも長打が打てるのは大きい。投手としてももちろん悪くはないのだが、先のことを考えるとやはり野手のほうが可能性は広がるだろう。
 春日丘の先発、加藤紘基(3年、投手、右投右打)は昨秋の県大会で見て目に付いた選手。当時はエースだったが、この春は背番号10。背番号が示すとおり秋に比べて良くなかった。体つきは別人のように逞しくなったが、その分全体的なしなやかさが失われた印象だ。救いなのは腕の振りがしっかりしていたことと球威があったこと。良かったときのフォームを思い出して、また秋のようなピッチングを取り戻してもらいたい。

5月29日 刈谷1−2豊橋商
       杜若5−3豊川(春季全三河大会)
 この日は愛知県内で行われるローカルな大会。刈谷の捕手、斎竹優貴(3年、右投右打)が強肩と評判だったが、イニング間の練習では全くまともに投げてくれずがっかり。投手への返球もピリッとしなかった。相手の豊橋商で目に付いたのがトップバッターの藤井貴久(3年、中堅手、左投左打)。運動能力高く、跳ねるようなランニングフォームが目立った。バッティングも開かずにヘッドが走り、左投手も苦にしない。グリップの位置が低く高めを打ち上げてしまうのがトップバッターとしては物足りない。横投げのスローイングも要矯正だ。
 昨年の夏、56イニング無失点という快刀乱麻のピッチングを見せた豊川・森福允彦(3年、左投左打)は登板しなかったが、シートノックではライトからレーザービームを連発。そんじょそこらの強肩とはレベルが違い、全て低い軌道でノーバウンドの返球だった。同じく昨年の夏の決勝進出に貢献した4番の花田祐太(3年、右投右打)は貴重な右のスラッガー候補。どっしりした構えでトップの形が崩れず、常にフルスイングする形ができている。テークバックで少し腰を回しすぎるのは惜しいが、柔軟かつ強靭なリストワークも高校生離れ。タイプ的には新岡(藤代→中央大)が近いか。
 杜若のエース、鈴木翔太(3年、4番、右投左打)はアーム式の腕の振り、体重の後ろ残り、左手の使い方などフォームの欠点を挙げればきりがないが、それでも馬力は十分でスピードも140km近いのは非凡。もっと力を抜いて楽に腕が振れるようになれば、見違えるような投手になりそうだ。バッティングは膝が柔らかく使え、リストも強い。フィールディングの動きも良く、楽しみな未完の大器だ。

5月30日 かずさマジック2−0JFE東日本(都市対抗一次予選)
 かずさマジック・鬼崎智史(24歳、1番、外野手)は九州共立大時代の粗っぽさがなくなり、今はトップバッターがすっかり似合うようになった。時折上半身が伸び上がる悪い癖が出るが、ヘッドの下がらないスイングで広角に打てるのは大きい。均整の取れた体格でユニフォーム姿が美しく、脚力、肩の強さも十分プロレベル。大舞台でアピールするためには、なんとしても都市対抗には出場したいところだ。

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